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2024年5月3日(金)

主張

憲法施行77年

闘い受け継ぎ空洞化許さない

 「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」―放映中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」は、主人公が新聞に載った新憲法第14条を食い入るように読む場面から始まりました。

 女性には弁護士になる資格がなかった時代に、やがて法改正されるのを信じて勉強し弁護士になった実在の女性がモデルです。戦前、女性は結婚後は法的無能力者とされ、参政権がなく政党に入ることも法で禁じられていました。いま当たり前のものとして享受している権利が、かつてはそうではなかったこと、先達の闘いの末に勝ち取られてきたことを思います。

■勝ち取った諸権利

 生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を国政で最大に尊重すべきだとする憲法13条、両性の本質的平等を定める24条、国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利をうたった25条、教育を受ける権利を定めた26条―。社会保障や教育など暮らしの予算を抑え込み、切り下げる自民党政治の下で、これらの権利は完全には実現せず、ないがしろにされています。

 悔しさ、苦しさのなかで声をあげてきたからこそ憲法に実った権利を現実のものとするには、未来は変えられることに確信をもって闘いを続けることです。どんなことも闘い抜きにはすすみません。かつては偏見にさらされていたLGBTQの人の権利も一歩ずつ前進しています。当事者が勇気をもって訴えてきたからこその変化です。

■激しいせめぎ合い

 なかでも恒久平和の原則は、新しい時代が必ず来るという確信の下、文字どおり命がけで弾圧に抗した日本共産党員らの闘いと、侵略され、植民地にされたアジア諸国民や不正義の戦争に動員された日本国民の悲惨な体験の上にあります。

 前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」決意をうたい、9条で「武力による威嚇又は武力の行使」を放棄し、戦力不保持・交戦権否認を定めた憲法は誇るべき世界の到達です。

 ところがいま、岸田文雄政権は憲法を蹂躙(じゅうりん)・空洞化する「戦争国家づくり」を一気にすすめています。敵基地攻撃能力の保有や空前の大軍拡、究極の殺傷兵器である戦闘機の輸出、自衛隊が米軍の指揮下に入って主権を差し出し国連憲章違反の先制攻撃に加わることにまで踏み込もうとしています。国民のプライバシーや知る権利、思想・信条の自由、学問の自由を侵す法律の整備もすすめています。

 同時に、改憲勢力は国会で改憲発議に必要な議席を持ちながら、できていません。岸田首相は国会で「平和国家としての歩みは何ら変わらない」と述べます。不誠実極まりない答弁ですが、そう言わざるを得ないのは、憲法の平和原則とそれを支持する国民世論があるからです。

 憲法の空洞化を阻むのも、憲法の理念を前進させるのも国民の世論と運動です。誇りある闘いを引き継ぎ、闘いで勝ち取った「全世界の国民が平和のうちに生存する権利」の侵害を許さず、真に実現する決意を固め合いたいと思います。


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